製作工程
今やほぼ絶滅状態となってしまったソフトビニール組み立てキットの製作工程を紹介します。
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公式立体設定資料版 カンチ 【クラッシュヘッドバージョン】 1/6スケールソフトビニールキット 原型製作:吉山治樹 発売元:海洋堂 定価:¥10290 |
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【1】パーツのチェック 中はこんな感じ。 パーツリストを見て不足していないかチェックします。 この「カンチ」は全47パーツ。 ソフビキットとしては多い方かもしれません。 |
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【2】洗浄 パーツの歪みを取るために熱湯で5分ほど煮込みます。 ※料理に使う鍋は使わないでください。 煮込んだ後は水で冷やします。 ついでに、表面についている離型剤を中性洗剤で 洗い落としてしまいましょう。 |
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洗浄が終った状態。 パーツは失くさないように1つの入れ物にまとめておきます。 |
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【3】不要部分のカット ソフビには「湯口」と呼ばれる不要な部分が付いているので、 それをクラフト鋏やデザインナイフで切り落とします。 硬かったらドライヤーで暖めながら切ってください。 関節の丸い穴はデザインナイフを垂直に突き立てると 奇麗に切り抜けます。 左右で異なるパーツには湯口にRとLの印があるので、 パーツの内側にペンで書いておきましょう。 切り取った湯口は塗装や接着のテストにも使えるので 残しておくと便利です。 写真ではホットカッターを使っていますが、 これはかなり危険な道具なのでオススメはできません。 |
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【4】仮組 切り終わったら仮組で全体のバランスをチェックします。 関節(間着)はドライヤーで暖めれば簡単にはまります。 塗装後はあまり無理な事ができなくなるので、 この時点で関節がキッチリはまる様に調整してください。 |
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【5】気泡の処理 塗装する前に気泡を埋めます。 小さい気泡には瞬間接着剤、大きい気泡は造形補修剤の プラリペアかアルテコパテがオススメです。 普通のパテを使うと組み立る時にひび割れてしまいます。 クリアパーツの内部が不自然に見える所は透明タイプの プラリペアか多用途接着剤などで埋めてください。 気泡の処理が終ったらもう一度中性洗剤で洗って 手垢を落としましょう。 |
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【6】塗装1 ソフビの塗装にはソフビ専用カラーである「Vカラー」がオススメです。 下地にVカラーを塗っておけばプライマー(下地処理)の代わりにもなるし、 上からMrカラーを使うこともできます。 下地にサーフェイサーを吹く作例も見かけますが、 ソフビの変形で塗膜に皺ができることがあるのでオススメできません。 Mrカラーも同様で、ソフビへの直塗りはダメです。 エナメルや水性塗料も後々ベタつくことがあるので使えません。 |
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【7】塗装2 だいたい塗り終わった所。 Vカラーを使ったのは下地の白とクリアパーツだけで、 他は全てMrカラーで塗っています。 表面がツルツルした所はMrカラーでも食い付が悪いので 下地が剥がれない程度にヤスリがけするとよいでしょう。 詳しい塗装技術に関しては専門書籍を見てください。 |
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【8】墨入れ 墨入れはタミヤのエナメルカラーを使いました。 Vカラーで下地を作ってあれば少量なら問題ないようです。 |
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【9】補強 夏場など、軟らかくなったソフビがパーツの重さで歪むのを 防止するために、内部にキャストや石膏を入れて補強します。 一般的な補強の方法は以下の4種類。 ・発泡ウレタン:注入後に膨張するので注意。 ・針金のフレーム:可動範囲が制限されます。 ・石膏:安定させるための重りとしても使われます。 ・キャスト:一気に流すと硬化時の反応熱でソフビが変形します。 少量をパーツの中で回して薄塗りにすると失敗しません。 今回は膝から下に石膏を流してバランスを安定させ、 上半身はキャストで補強しています。 【10】組み立て 組み立ては瞬間接着剤を使いました。 クリアパーツは白くならないように超多用途接着剤を使っています。 |
(アドバイスをくれたふたばの模型裏住人に感謝)
≪備考・今回気づいた事≫
・Vカラーをプラスチックに塗ると簡単に剥がれる。
・Vカラーの上にエナメル塗料を塗っても爪でこすっただけで剥がれてしまう。
・サーフェイサーの上にVカラーを塗っても剥がれてしまう。
・メッキカラーにクリアコートを吹くと普通のシルバーになる。
・メッキカラーにマスキングテープを使うと表面が薄く剥がれて輝きが無くなる。
・メッキカラーの近くで瞬着を使うと、メッキカラー上の指紋が黒く浮き出る。
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